銭湯で客の背中を流す男衆をいう。三助は、男湯でも女湯でも出入り自由で、客が湯からあがると、糠袋(ぬかぶくろ)で背中から腕をよくこすり、湯をかけて流し、軽くマッサージして、2~3度「パンパン」と景気よく背中をたたく。これが気持ちよかったようで、この音で祝儀の額が違った。町芸者などは、男前で手際のよい三助にはずいぶんと祝儀をはずんだという。三助になるには、風呂の燃料となる屑木を調達する木拾い、釜焚き、風呂からあがるときにかける岡湯をくみ出す湯汲番(ゆくみばん)などの経験が必要で、10年ぐらいはかかった。三助の出身地は、ほとんどが越後、越中、越前の豪雪地帯で、比較的身持ちが固く、貯金に励む者が多かった。彼らの収入は、給金のほか客からもらう祝儀などで、湯屋株(ゆうやかぶ)を買って独立することを目指したという。ちなみに、湯屋株は300両以上もしたというから、なかなか独立するまでに貯蓄するのは難しかっただろう。
銭湯(せんとう)
有料の風呂屋のことで、関東では湯屋(ゆうや)、関西では風呂屋といわれる。