藩士の最高位。「老」は主だった家臣のことをいう言葉で、幕府の中枢部も、老中と若年寄で構成されている。「老」は年齢ではなく、地位を示すもので、ペリー来航時の老中首座(筆頭)・阿部正弘は、25歳の若さで老中になった。家老は、現代でいえば代表権をもつ藩政の責任者であり、「重役」ともいわれる。大名もその地位を尊重し、諫言(かんげん。いさめること)をするのは家老の役とされた。大きな藩では、家格の高い家が家老を世襲し、その下のクラスの上級藩士が「奉行職」などの役職に就き、藩政をとった。家老には、国元(領国)の政治を見る城代家老と、江戸で幕府との交渉にあたる江戸家老があった。この両者が対立して御家騒動が起こることも多く、時代劇のジャンルの一つをなしている。
藩(はん)
将軍から1万石以上の石高(こくだか)を与えられた大名が治める、それぞれの地域に設けられた政治機構。
幕府(ばくふ)
武家の政府で、もともとは近衛大将や征夷大将軍の居所を指したが、鎌倉幕府以来、征夷大将軍に任じられた武家が政治を行う場所やその政府のことをいった。
老中(ろうじゅう)
通常、江戸幕府の政務を統轄する最高職で、若年寄の補佐を受け、日常政務を執行する。
若年寄(わかどしより)
江戸幕府において、老中の補佐を勤めた役職。
大名(だいみょう)
将軍の直臣のうち、1万石以上の知行(ちぎょう。幕府や藩が家臣に与える、領地から年貢などを徴収する権利)を与えられた武士。