番頭は中級藩士を束ねる上級家臣で、藩の軍事組織の長。番頭の中には、家老にまで昇進する者もいる。中級家臣はおおむね「馬廻(うままわり)」と称される。藩主の馬の廻り(周囲)にあって、藩主を護衛する役目をもつ。つまり、馬廻の頭が番頭である。藩によっては、「組頭」と呼ばれることもある。一方、物頭は、徒歩で従軍する下級武士である御徒(おかち)、弓の者や鉄砲の者といった足軽クラスの下級家臣を束ねる中級家臣である。これは、馬廻の藩士のうちから選抜される、いわば中間管理職である。城下町の行政や裁判にあたる町奉行、また農村支配や年貢徴収にあたる郡奉行(こおりぶぎょう)は、物頭から昇進する。
藩(はん)
将軍から1万石以上の石高(こくだか)を与えられた大名が治める、それぞれの地域に設けられた政治機構。
家老(かろう)
藩士の最高位。現代でいえば、代表権をもつ藩政の責任者で、「重役」ともいわれる。大藩では家格の高い家が世襲した。
足軽(あしがる)
最下位に置かれた武士で、戦時においては、弓の者や鉄砲の者により、弓や鉄砲の部隊を編成した。
町奉行(まちぶぎょう)
町奉行所の長官で、寺社地と武家地を除く江戸の行政担当者。警察業務や司法業務を日常的に遂行し、消防や災害救助も行った。
年貢(ねんぐ)
農民が領主に上納する負担で、近代の税金にあたる。土地の潜在的な収穫量である石高(こくだか)に対してかかり、物成(ものなり)、取箇(とりか)ともいう。
郡奉行(こおりぶぎょう)
藩が領地を管理して家臣へ米を支給する俸禄知行制において、その領地を一括して管理する役人。通常数名で、中級藩士から選抜され、年貢徴収や民政を担当した。