武士の収入の示し方には、「知行取り」といって、たとえば「300石」というように「石(こく)」で示す場合と、「蔵米取り」といって、たとえば「50俵(ひょう)」というように米俵の数で示す場合がある。「300石」というと、300石の米が収穫できる領地をもっていることを示し、その中から年貢を徴収する。「50俵」の場合は、幕府や藩の蔵から50俵の米を支給される。1俵には3斗5升の米が入っており、1石の知行からの年貢は3割5分ほどだから、たとえば、100俵の武士と100石の武士の年収は、ほぼ同じである。しかし、武士は本来領地をもつ存在だったから、知行取りの方が蔵米取りの者よりも身分格式は上であった。
武士(ぶし)
平安時代(794〜12世紀末)後期に生まれた、戦いを任務とする者。鎌倉時代以降、武士が政権を握ったため、支配階級として政治をも担当することになった。
年貢(ねんぐ)
農民が領主に上納する負担で、近代の税金にあたる。土地の潜在的な収穫量である石高(こくだか)に対してかかり、物成(ものなり)、取箇(とりか)ともいう。
幕府(ばくふ)
武家の政府で、もともとは近衛大将や征夷大将軍の居所を指したが、鎌倉幕府以来、征夷大将軍に任じられた武家が政治を行う場所やその政府のことをいった。
藩(はん)
将軍から1万石以上の石高(こくだか)を与えられた大名が治める、それぞれの地域に設けられた政治機構。
知行(ちぎょう)
幕府や藩が家臣に与える、領地から年貢などを徴収する制度。