勤務のため地方から江戸に出てきた武士。着物の裏地に浅葱木綿を用いることが多かったことから、遊廓では、江戸勤番に出てきた野暮な田舎侍を馬鹿にして、「浅葱裏」と呼んだ。「浅葱(あさぎ)」とは、薄いネギの葉の色のことで、見た目は緑がかった薄い藍色である。間違えて「浅黄色」と書かれることもある。ちなみに、江戸の粋(いき)な町人は、着物の裏地に絹を用いた。見えない場所にお金をかけるのが、趣味の良いことだと考えられたのである。もっともこれは、幕府が町人の衣服に絹を用いることを禁じていたことから広まった風俗である。
武士(ぶし)
平安時代(794〜12世紀末)後期に生まれた、戦いを任務とする者。鎌倉時代以降、武士が政権を握ったため、支配階級として政治をも担当することになった。
侍(さむらい)
もともとは貴人に「さぶらう者(仕える者)」という意味で、貴族を護衛する兵士の呼称であったが、のちに武士と同義に使われるようになった。
幕府(ばくふ)
武家の政府で、もともとは近衛大将や征夷大将軍の居所を指したが、鎌倉幕府以来、征夷大将軍に任じられた武家が政治を行う場所やその政府のことをいった。