宿場における本陣やそれに準じる脇本陣以外の食事付きの旅宿。食事を供しない宿泊施設は「木賃宿(きちんやど)」と呼ばれ、武士や庶民の旅行客が宿泊した。参勤交代でも、大名の家臣は旅籠に宿泊した。旅籠の多くは2階建てで、飯盛女を置く飯盛旅籠と、置かない平旅籠があった。飯盛旅籠では、旅行者を宿に誘う留女(とめおんな)がいて、強引に宿に引き込むことがあった。留女は飯盛女を兼ねていた。東海道の旅籠の宿泊料は、1泊につき、上の部類で200文、下では120文、木賃宿なら50文以下で、中山道では、上の宿が150文ほど、東北地方なら木賃宿が16文というところもあった。
宿場(しゅくば)
旅人が宿泊する施設が集まる場所。運輸・通信・休泊を任務とする公共施設であり、その業務を果たすための「問屋場(といやば)」が置かれた。
本陣(ほんじん)
宿場で、参勤交代の大名や勅使(ちょくし)、あるいは幕府役人などが宿泊した、民間の施設。空いているときは、一般の旅行客を泊める本陣もあった。
武士(ぶし)
平安時代(794〜12世紀末)後期に生まれた、戦いを任務とする者。鎌倉時代以降、武士が政権を握ったため、支配階級として政治をも担当することになった。
参勤交代(さんきんこうたい)
各地の諸大名を江戸に参勤させる制度。
大名(だいみょう)
将軍の直臣のうち、1万石以上の知行(ちぎょう。幕府や藩が家臣に与える、領地から年貢などを徴収する権利)を与えられた武士。
飯盛女(めしもりおんな)
宿場の旅籠(はたご)で食事の給仕をする女性であるが、売春婦の役割も果たした。