2個の賽子(さいころ)を使って行う博打。盆座を中心にして、「壺振り(つぼふり)」と「中盆(なかぼん)」が向かい合って座る。「張る」客の座も決まっていて、丁(偶数)を張る者が中盆の側に座り、半(奇数)を張る者は壺振りの側に座る。賭場の元締めとなる胴元(どうもと)はおらず、丁を張る者と半を張る者は、賭け金の総額が等しくなければならない。用意がととのうと、中盆が「壺」と号令をかけ、壺振りが賽子を壺笊(つぼざる)に入れて振り、場に伏せる。それから、参加者がそれぞれに賭ける。丁半が対等になると、中盆が「勝負」と言って、壺笊をあけ、勝負が決まる。テラ銭(寺銭)は、原則が4分で、「6」の目がそろう「ビリゾロ」のときは1割であるとか、数字がそろう「ゾロ」のときに取るとかの方法があった。このようなルールに基づいて“正式”に行うのが「丁半博打」で、胴元がいて、客がそれぞれ丁半の好きな方に賭けるものは「鉄火場」といわれる博打である。
博打(ばくち)
賭博のこと。江戸幕府の法令では、賭博は「博奕」と表記された。賭博を打つ人を「博奕打ち」といい、それが「博打」に省略され、次第に賭博そのものを表す言葉となった。
鉄火場(てっかば)
2個の賽子(さいころ)を使う丁半博打の形の崩れたもので、賭場の元締めとなる胴元(どうもと)がいて、客がそれぞれ丁半の好きな方に賭けることができる。また、賭客が交代で壺振りを行うこともある。