女性の髪形は、時代によって違い、また身分や年齢、未婚・既婚の別によっても違った。代表的な髪形は島田髷で、もとは東海道・島田宿の遊女が発祥だといわれる。これが大流行し、若い女性の髪形として定着した。島田の根を高く上げて結うスタイルを高島田といい、御殿女中などに広まり、明治以後は若い女性の正装となった。現在でも結婚式などで結われる文金高島田(ぶんきんたかしまだ)は、根を最も高く上げた髪形である。一方、結婚している女性の一般的な結い方は丸髷で、いただきに楕円(だえん)形でやや丸い髷を付けたもの。ちなみに日本髪の髪形は髷に代表されるが、そのほかに前髪、鬢(びん。顔の両側にある耳の前の毛)、髱(たぼ。つとともいう。後頭部の髪を後方に膨らませた部分)の四つの部位があり、それぞれが特徴をもった。燈籠鬢(とうろうびん)、鴎髱(かもめたぼ。「鴎」は親字)、鶺鴒髱(せきれいたぼ)などがそれで、鬢張りや髱差しなどの小道具を使って結い上げた。
燈籠鬢(とうろうびん)
顔の両側にある耳前の毛である鬢を、クジラのひげなどの型を使って大きく左右に張り出させた日本髪。向こう側が透けるように結い、燈籠の笠にも似ているため、こう呼ばれた。
鴎髱(かもめたぼ)
「かもめづと」ともいった。後頭部の髪を後方に膨らませた部分となる髱(たぼ)。この髱をカモメの尾羽のように後方に飛び出させた髪形。
鶺鴒髱(せきれいたぼ)
「せきれいづと」ともいった。後頭部の髪を後方に膨らませた部分となる髱(たぼ)。反り上がった髱差しという芯を使い、髱をつり上げるような形に結った髪形。