不特定多数の客の髪を結うことを専業とする者。彼らが現れたのは、江戸時代であったと考えられている。寛永(1624~44)の年代には、辻や橋のたもとで、男性の髪を結い、月代(さかやき。男子が、額から頭頂部にかけて剃りあげた部分)や鬢(びん。顔の両側にある耳の前の毛)などを剃る髪結床が出現する。その後、こうした店舗を構えない髪結床のほか、髪結を行う店舗を構える者、客を回って髪結をする者などが現れる。髪結賃は、寛永のころは1文だったが、元禄(1688~1704)のころになると、7文ないし10文となる。髪結床は床屋ともいわれ、「浮世床(うきよどこ)」とは、床屋に集まった客が世相を談じたことから生じた言葉である。床屋に集まる者は町家の者たちで、武士は家臣の家で髪結の技に長じた者に結わせた。一般の民家では、妻女が髪を結った。江戸藩邸では、髪結が出張して、藩士たちの髪を結うことが行われた。
武士(ぶし)
平安時代(794〜12世紀末)後期に生まれた、戦いを任務とする者。鎌倉時代以降、武士が政権を握ったため、支配階級として政治をも担当することになった。