城下町や宿場で人馬を提供する義務。宿場は、公用で通行する者に対して人馬を提供するために整備されたものであり、規定にしたがって人馬を常備しておく必要があった。江戸時代前期では、東海道の宿駅では人馬100人・100疋(ひき)、中山道の宿駅では50人・50疋を常備するよう命じられている。将軍の朱印状や老中の証文による公用人馬は無料、幕府の用務で使う場合は低額の御定賃銭(おさだめちんせん。幕府が決めた公定賃銭)で利用できた。人馬は、原則としてその宿から次の宿への一宿ごとの継ぎ送りであり、常置の人馬で足りないときは周辺農村から徴発した。これを助郷(すけごう)という。
宿場(しゅくば)
旅人が宿泊する施設が集まる場所。運輸・通信・休泊を任務とする公共施設であり、その業務を果たすための「問屋場(といやば)」が置かれた。
将軍(しょうぐん)
幕府の主権者で、形式的には朝廷から任命される。正確には征夷大将軍で、大臣を兼ね、正二位に叙された。
老中(ろうじゅう)
通常、江戸幕府の政務を統轄する最高職で、若年寄の補佐を受け、日常政務を執行する。
幕府(ばくふ)
武家の政府で、もともとは近衛大将や征夷大将軍の居所を指したが、鎌倉幕府以来、征夷大将軍に任じられた武家が政治を行う場所やその政府のことをいった。