土用は五行説から生まれた暦注(れきちゅう。暦による日時や方位に基づく吉凶)で、二十四節気の小寒(しょうかん。1月5~6日ごろ)、清明(せいめい。4月5~6日ごろ)、小暑(しょうしょ。7月7日ごろ)、寒露(かんろ。10月8~9日ごろ)の日から数えて13日目から立春(りっしゅん。2月4日ごろ)、立夏(りっか。5月6日ごろ)、立秋(りっしゅう。8月8日ごろ)、立冬(りっとう。11月7日ごろ)の前日までをいう。現在では太陽の位置で日が決められているが、夏の土用以外はほとんど話題にならない。夏の土用は、太陽の黄経が117度になる日から立秋の前の日までで、特に暦の上で十二支の「丑」にあたる日に鰻(うなぎ)を食べる習慣がある。これは、エレキテルなどを考案した江戸時代の科学者・平賀源内(ひらがげんない)が考えた鰻屋の広告から広まったものである。鰻はビタミンEが豊富で、食欲が失せがちな暑い時期に食べるのはそれなりの効用がある。なお、鰻の蒲焼きは上方で始まり、18世紀初頭に江戸に入ってきた。江戸に鰻屋ができるのは天明(1781~89)のころで、深川の鰻が名産だった。