犯罪事実の取り調べを吟味(ぎんみ)といった。吟味は、証拠調べよりも自白を得ることに主眼が置かれた。その取り調べでしばしば行われたのが、牢問である。牢問は、笞(むち)で打つ笞打ち、角材の上に座らせて石を抱かせる石抱き、頭を両足の間にはさんで手足を縛る海老責めがあった。現在から見れば拷問であるが、釣し責(つるしぜめ。釣り責ともいった)などの拷問とは区別された。牢問で自白すれば、吟味役人は供述書を作成した。これを「口書(くちがき)」といい、被疑者が罪を犯したことを認めた証文であるから、最後に「誤(あやま)り入り候」などと記し、爪印を押させる。これによって、被疑者が犯罪事実を認めたことになるから、以後は町奉行の吟味となる。
町奉行(まちぶぎょう)
町奉行所の長官で、寺社地と武家地を除く江戸の行政担当者。警察業務や司法業務を日常的に遂行し、消防や災害救助も行った。