主に西国の諸藩が京都に置いた蔵屋敷の責任者。京都は天皇の都であるとともに、最先端の手工業都市であった。そのため、朝廷や公家との連絡、藩主やその家族が必要とする物品や贈答品などの調達にあたる必要があり、蔵屋敷を置いて、それらの任務にあたった。幕末には、蔵屋敷が尊皇攘夷の志士の拠点となり、公家への工作や諸藩の志士との連絡などに使われた。なお、諸藩は京都のほか大坂にも蔵屋敷を置き、年貢米を国元から回漕(かいそう。船での運送)した。蔵屋敷の藩役人はその販売にあたったが、たとえば福岡藩では、京都留守居役が大坂蔵屋敷を管轄している。
藩(はん)
将軍から1万石以上の石高(こくだか)を与えられた大名が治める、それぞれの地域に設けられた政治機構。
朝廷(ちょうてい)
天皇が政治を行った政府。数々の儀式や祭祀も行った。
公家(くげ)
朝廷に仕える貴族や五位以上の官職にある官人。最高位の家柄は摂家。次いで、清華家(せいがけ)、大臣家(だいじんけ)などと続く。各大臣の下、文官で大納言、中納言、参議、武官で大将、中将、少将などの官職についた。
尊皇攘夷(そんのうじょうい)
天皇を尊び、その権威を絶対化しつつ、一方で外国勢力の排除を主張することによって幕府を批判する思想。
年貢(ねんぐ)
農民が領主に上納する負担で、近代の税金にあたる。土地の潜在的な収穫量である石高(こくだか)に対してかかり、物成(ものなり)、取箇(とりか)ともいう。