幕府に認可された商工業者の独占的な組織。同業者の組合である「仲間」は自然発生的に成立したが、幕府は、白糸や質屋など特定の業者に鑑札(かんさつ)を与えてこれを統制しようとした。享保6年(1721)、幕府は、江戸中のあらゆる商人や職人に株仲間を結成するよう命じた。株仲間は、強制力をもつ同業者団体だったので、その許可なくしてはその業務に新規に参入することはできなかった。この特権を認める代わりに、幕府は、株仲間から冥加金(みょうがきん)や運上金(うんじょうきん)という上納金を毎年納めさせるようになった。天保の改革(天保12~14年[1841~43])では、株仲間が自由な商品流通を阻害し、物価高騰をもたらしているとして、株仲間解散令を出した。しかし、かえって商品流通に混乱が生じ、物価も下がらなかったので、嘉永4年(1851)3月、株仲間再興令を出した。
幕府(ばくふ)
武家の政府で、もともとは近衛大将や征夷大将軍の居所を指したが、鎌倉幕府以来、征夷大将軍に任じられた武家が政治を行う場所やその政府のことをいった。
冥加金(みょうがきん)
商工業や漁業に従事する者に課せられた営業税。その業務を独占的に行うことに対する御礼として幕府に上納するもの。
運上金(うんじょうきん)
商工業や漁業に従事する者に課せられた営業税。市場や問屋などをはじめとするさまざまな業者団体に、一定の税率を定めて幕府に上納させる。