[一言で解説]
既遂とは、犯罪を実行し、結果が発生したということ。未遂とは、犯罪を実行したが、結果が発生しなかったということ。
[詳しく解説]
たとえば、人を殺そうとしてナイフで刺すことを実行し、それによって、人を殺すという結果が発生すれば、殺人罪は既遂になります。殺人罪が定める「死刑、無期懲役または5年以上の有期懲役」という刑罰は、殺人既遂罪の刑です。これに対して、刺そうと襲いかかったところで組み伏せられたり、刺した後に被害者が治療を受けて一命を取りとめたときは死という結果は発生していません。このような場合を未遂といいます。結果が発生していないのならば普通は処罰する必要はありませんが、重大な犯罪は未遂でも処罰する必要があります。そこで刑法は、未遂でも処罰すべき重大犯罪を個別の条文で定めています。たとえば殺人罪では未遂犯を処罰する条文が置かれています。未遂犯は、その刑を軽減することができます。