[一言で解説]
刑法の目的は、犯罪を予防すること。犯罪を処罰することを通じて、社会一般の人が犯罪を行わないようにする一般予防と、処罰を通じて犯人を更生させる特別予防がある。
[詳しく解説]
なぜ刑罰を科すことができるのでしょうか。古くから議論されてきました。古典派は、それを過去に行った悪いことに対する反作用だと考えました。これを応報刑論といいます。ドイツの哲学者カントが主張した同害報復が最も極端な立場です。「目には目を」の思想です。これに対して近代派は、刑罰が単なる反作用ではなく、一定の目的をもつものだと主張しました。つまり、将来の犯罪から社会を守るための手段だと考えたのです。現在では、基本的に応報刑論の枠組みの中で、刑罰に犯罪予防という目的を考慮する立場が有力です。