[一言で解説]
生命を奪う刑罰。最も重い刑であり、死刑制度には賛否がある。
[詳しく解説]
たとえば、人の住んでいる家に放火したような現住建造物放火罪のほか、殺人罪、強盗致死罪などの重大犯罪の刑罰には死刑が定められています。死刑は監獄内で絞首によって行われることが法律で定められています。人権制約の最たるものなので、1983年7月8日の永山事件最高裁判決では、死刑の適用基準を示した上で、刑事責任が極めて重大で、罪と罰の均衡や犯罪予防の観点からもやむを得ない場合にのみ許される、と判断しています。殺された人の数は殺人事件における死刑の適用基準のひとつですが、ごく大まかに言えば、それが4人以上になると死刑になる傾向があります。ただ、最近は厳罰化を要請する世論に影響されてか、1人を殺した事件でも死刑とされることもあります。
死刑制度には、犯罪抑止力の有無、多数決で存廃を判断することの是非、もしえん罪が判明しても、死刑執行後にやり直しがきかないことをどう考えるか等をめぐって議論がありますが、憲法が一人ひとりのその人らしい生き方を尊重している以上、国が「人道的に」殺人をすることは許されないと、筆者は考えます。