ひと口に「頭痛がする」といっても、医学的にはいろいろな種類に分けられます。西洋医学では、脳疾患などに起因する症候性頭痛と、片頭痛や緊張型頭痛のように慢性的に生じる機能性頭痛とがその代表でしょう。漢方医学では、頭痛を気(き=エネルギー)、血(けつ=血液)、水(すい=血液以外のリンパ液や汗などの体液)別に分類することができます。
気(き)のめぐりが悪化して起こる頭痛は、うつうつとした気分や、お腹にガスがたまった状態を伴うことが多いのが特徴。血(けつ)の異常によるものでは、肩こりを伴ったり、月経前の女性に生じるような頭痛が挙げられます。
そして、台風や梅雨に見舞われる今の時期の頭痛の多くは、水(すい)の異常が原因です。漢方では水(すい)の異常を水毒(すいどく)といいますが、低気圧や前線の通過などによる急激な気圧の変化に体の調節機能がついていけず、リンパ液や汗など体液の循環が悪くなることで、頭痛や頭重感を覚えると考えられます。
水毒からくる頭痛の特徴は、日本列島が低気圧で覆われたり、雨の予報が出た前日に生じることです。例えば、ある水毒の患者さんが「頭が痛い」と来院した翌日には必ず雨が降る、といった「都市伝説」のような現象さえ起きます。
また季節に関係なく、お酒の飲み過ぎによって生じる頭痛も、典型的な水毒からくる頭痛といえます。のどの渇き、手足のむくみを伴うこともあります。そのような場合、渇きを癒そうとして冷たい飲み物を多量にとると、かえって水毒が助長され、頭痛が悪化することもあるので要注意です。
水毒によって頭痛になりやすい人は、日常の水分補給でも、温かい飲み物でのどをうるおす程度にとどめるよう、意識しておくといいでしょう。
この時期は頭痛持ちでない人も、水毒を改善する効果があるといわれる食材を、積極的にとることをおすすめします。小豆、大豆、黒豆、えんどう豆、グリーンピースなどの豆類や、それらを使った豆腐、豆乳、春雨などの加工品が、体内の水はけをよくするといわれる代表的な食材です。
体内の余分な水分を外に排出するため、スポーツや入浴で汗をかくことも、こまめに行ってください。天気予報に注意して、近々低気圧がやってきそうな気配を感じたら、くれぐれも養生を忘れずに。