最近は各職場でクールビズが普及し、夏場の政府推奨エアコン設定温度も28 ℃と高めに変更されました。しかし、1 時間以上も冷房の利いている室内にいると、やはり気になるのは冷えによる体の不調。最初は体の表面がゾクゾク感じる程度であっても、時間がたつにつれ、芯のほうまで冷えてきます。
「帰宅したら早くお風呂に入りたい」と思ったり、入浴時に「お湯が温かくて気持ちいい」と感じるようであれば、体が冷えている可能性が高いです。その結果、むくみが生じる、疲れやすくなる、女性なら生理痛が強くなるなど、いわゆる冷房病の症状が出はじめるかもしれません。こうした不調が日々積み重なると、秋口に体調を崩しやすくなるので要注意です。
とはいえ、季節は連日30℃を超える夏の盛り。冬場の冷え対策のように、厚着をしたり、温かい食べ物や飲み物をとるのは、ちょっと難しいですね。そこで通気性の高い麻やコットン素材の上着で、体温コントロールを助けてはいかがでしょう。男性ならジャケット、女性はストールやカーディガンなど。最近は、オフィスでも軽装が可能になりました。かつてはカジュアル性が高すぎて敬遠された素材でも、違和感はないかと思います。
冷たい飲み物のがぶ飲みは禁物です。氷なしや温めるなどして、なるべく冷たすぎないようにし、少しずつ口に含んでのどをうるおすことを意識しましょう。入浴もシャワーだけですませず、湯船に浸かることがおすすめです。
冷房病は、日中だけの問題ではありません。寝苦しさからエアコンを夜通しつけっぱなしにして寝たところ、翌日は寝覚めが悪く、日中も体がだるく感じた、といった経験はありませんか? 私たちの活動の源となる体内の気(き=エネルギー)は、睡眠によって補われます。そのため、熱帯夜が続いて熟睡できないと、気を十分に補うことができず、なかなか疲れがとれないという状態になります。
だからといって、エアコンをひと晩じゅうつけた部屋で常に寝ていると、次第に体が冷え、日中、冷房の利いた場所に長時間いるのと同じことになってしまいます。
漢方では、エアコンから出る風も、体に害をおよぼすものの一つと考えます。
風が体に直接あたると、風邪(ふうじゃ)によって、かぜを引きやすくなります。ですから就寝時はエアコンの運転時間や強さ、温度だけでなく、風が体に直接あたらないよう風向きを設定しておくことも大切。隣室のエアコンをタイマー運転し、ドアを開け放って冷気を循環させたり、あらかじめ寝室を冷やしておいて就寝直前に切るといった工夫をすると、風邪(ふうじゃ)による悪影響は少なくなります。