はき慣れた靴が突然きつくなった、なんだか目が腫れぼったい、鏡を見たら顔がぱんぱんに張っていた…夏になると、よくこのような不調に見舞われる人がいます。体重などに変化がなければ、もしかしたら体にむくみが生じているのかもしれません。
ごく一般的な体のむくみは、リンパ液や汗といった、体液の流れが悪くなることで生じます。漢方では、こうした状態を体内の水(すい=体液)の異常と考えて、水毒(すいどく)と呼んでいます。季節に関係なく起こる不調ですが、夏の水毒は冷たいもののとりすぎが原因となるケースが多いため、水分補給に注意が必要といえるでしょう。
私たち人間の体は、高温下では体温調節のため汗をかきます。すると、体内の水分が不足してのどの渇きをおぼえます。そのまま放置すると、体温調節ができなくなり、熱中症にかかってしまうので、水分補給しなければなりません。この時によく冷えた飲み物をとると、脳がクールダウンするため気持ちよさを感じます。ですから体に熱がこもると、のどは冷たいものを欲するのです。
ところが胃はその反対で、冷たいものが苦手です。冷水をがぶがぶと大量に飲んだところ、後になって腹痛に見舞われた、という例もあるように、のどごしのよさに負けて冷たいものをとりすぎると、胃がまいってしまいます。その結果、消化吸収力が低下して、体内に余分な水分がたまります。一方、冷たいものを飲んで体が冷えると、これ以上は体の熱を逃がさないようにと、脳が発汗を止める指令を出します。
こうした悪い条件が重なって、むくみが生じるのです。
体にむくみが生じているかどうかわからない場合、簡単に見分ける方法があります。
鏡を使って自分の舌を観察してみましょう。もし表面にギザギザが見えたら、それはむくんだ舌についた歯型。体もむくんでいると考えられます。また、お酒を飲みすぎた翌日に起こる頭痛も、脳がむくんでいることが原因の場合があります。
むくみを生じないようにするには、水分のとり方に注意しないといけません。理想としては温かい飲み物を、のどをうるおす程度に飲むのがよいのですが、暑い時に温かい飲み物はなかなか手にとりにくいですね。常温の飲み物にするとか、お酒の席でも冷えたビールは最初の1杯だけで我慢して、後は焼酎のお湯割りに切り替えるなど、積極的に意識してみてください。
もちろん常温や温かい飲み物であっても、飲みすぎはよくありません。