二日酔いは、胸やけや胃もたれとともに、忘年会シーズンに見られる不調の代表といえます。いつもと同じ量を飲んだはずなのに、翌日、お酒が残ってしまう。そのような二日酔いの場合は、胃腸が弱っていることが原因かもしれません。
通常、体内の不要な水分は尿として排出されますが、胃腸が弱って利尿などの働きが悪くなっていると、余分な水がたまり、頭痛がする、気持ちが悪い、といった症状が出現するのです。
このように水がたまっている状態を、漢方では「水毒(すいどく)」といいます。
胃腸が弱る原因は、胃もたれと同様、食べ過ぎや飲み過ぎが第一に考えられます。とりわけ、就寝前の食べ過ぎについては、注意が必要です。
胃腸の中に食べ物を残した状態で就寝すると、消化のため睡眠中も胃や腸が休まず動き続け、安眠できません。そうなると体が十分に休息できず、胃腸も弱ってしまいます。
忘年会や新年会といった酒食の集まりが多くなると、うっかり夜遅くまで飲み食いするような機会も増えますから、胃腸を酷使する悪循環が繰り返されてしまいがちです。もしも胃もたれがして、お酒も残るように感じたら、飲食は就寝時間の3時間前までに切り上げる、なるべく胃腸に負担のかからない料理を食べる、摂取量を意識的に調整する、といった配慮が必要です。
体内にたまった余分な水を、尿以外の方法で出すには、軽い運動や半身浴で汗をかくのが手軽かつ効果的です。夏の間であれば不感蒸泄(ふかんじょうせつ)という生理現象によって、じっとしていても体から水分が蒸発しますが、冬場は寒さで体も冷えていて水分が出にくいのです。そのため、お酒を飲み過ぎていなくても水毒になりやすいので、積極的に汗をかくようにすることを心がけてください。
食事で水毒を予防する方法もあります。食材では黒豆、春菊、セロリ、高菜、白ねぎ、白菜、ごぼう、みかん、ゆず、鴨肉、カニ、しじみなどが、水はけを助ける効果があるといわれています。
もちろん、水分の摂取量を調整すること──つまりお酒を飲み過ぎないことは、いうまでもありません。私が以前、診察した患者さんの中には、「どんなに誘われても、宴会は週3回まで」と厳しく制限を課して、体が回復する時期を考慮しながら、食べ過ぎや飲み過ぎをコントロールした例もありました。