春は、一年の中で最もダイエットに向いている季節といえます。
冬は、動物の本能として冬眠の季節なので、秋から冬にかけての体は、エネルギーをため込もうとします。寒さに耐えるため、ただでさえエネルギーを蓄積しなくてはいけない時期にダイエットをするのは、効果がないばかりか、かえってエネルギー不足で風邪をひきやすくなるなど、体調を崩してしまいます。
一方、夏になると暑さによる熱射病の心配や、室内では冷房によって体が冷えて代謝が上がらないなど、これまたダイエットには不向きです。
春は、気温が少し暖かくなって、体を動かしやすくなります。また、冷暖房器具をつける必要がない時期なので、自然な発汗がしやすいのです。漢方でも、春は「発散」の季節と位置づけています。冬場に太ってしまい、ダイエットを始めようと思っているなら、今がオススメです。
そもそも「太る」とは、体に入るエネルギー(飲食物)が、出るエネルギー(運動)よりも増え、脂肪が体内に蓄積されることです。しかも、加齢などで基礎代謝が低下すると、老廃物をため込みやすく、ますます脂肪が体内に滞りやすくなりますから、若いころと同じような食生活をしながらも運動量が同じであれば、それだけで徐々に太っていってしまいます。
とはいえ、むやみやたらに雑誌やテレビで広告されているダイエット法に飛びついても、自分に合わない方法だと、やせないばかりか、余計に太りやすい体になってしまいかねません。
漢方では、体質そのものを改善していくことが、確実にリバウンドしない有効な手段だと考えます。こうした漢方の考え方をもとに、太り方の体質(やせにくさ・太りやすさ)を、私は3つに分類しています。ダイエットにあたっては、ご自分の体質のタイプに沿った方法を取り入れるといいでしょう。
体質その1は、食べ過ぎ(過食)の状態が習慣化している「食毒体質」。脂っこい料理や味の濃いもの、カロリーの高いものを好みます。食べ過ぎが問題なので、食事量を減らす、酒量をコントロールすることで体重が減りやすいタイプです。
体質その2は、胃腸が弱く、食べ物や飲み物をうまく消化できず、水太りしている「水毒体質」です。胃腸を丈夫にするように体質改善することが必要です。飲み物はのどを潤す程度にとどめ、水分が欲しくなる塩分も控えるようにします。このタイプの人は、「水を多量に飲むダイエット」や「食事制限ダイエット」には不向きです。
最後は、血(けつ=血液)の流れが滞っている「お血(おけつ)体質」。まずは、血行をよくするよう心がけます。にら、ねぎ類、サフラン、イワシ、サンマなど、血(けつ)のめぐりをよくする食べ物を積極的にとりましょう。ストレッチなどの運動を組み合わせると、なお効果が期待できます。