秋に招きやすい不調の一つがおなかの張り。この症状は、主に腸内ガスがたまることで生じます。腸内ガスとは、小腸で消化吸収されなかった食べ物のカスが、大腸に送られた後、腸内細菌の作用で分解される時に発生するもの。大部分は腸管から吸収されますが、吸収しきれなかった分は肛門から排出されます。これが、いわゆるおならです。それでも排出されずに残ると、大腸内にガスがたまり、下腹部を中心に張りが生じます。
とくに繊維質を多く含む食べ物は、ガスの発生量を多くします。繊維質は小腸では消化吸収ができないため、すべて大腸に送られて分解されるのですが、その際に発酵して多量のガスを発生させるからです。
秋は、さつま芋やじゃが芋など、繊維質の多い芋類が旬を迎える季節。自然と口にする機会も多くなるため、ガスの発生量も多くなりがちです。そこで体が、ガスを適切に処理できなければ、それらは当然、体内にたまっていってしまいます。
本来は体の外に排出されるべきガスが、体内にたまると、当然、おならが出そうになります。それを、必死で我慢すべく苦しんでいる人を、最近では男女を問わず見かけます。
おなかの張りの悩みを解決するには、まずは腸内で発生するガスを減らさなくてはいけません。例えばイモ類のような、ガスを大量に発生させる食材を食べ過ぎないように。また、冷えや血流の悪さもガスを増やす要因になっていることがあります。きつい下着でおなかを締め付けるのをやめ、腹巻きなどをして温めましょう。
それでもガスがたまってしまう場合、漢方では「気」の流れが滞っていることが原因だと考えます。気とは体内をめぐる生命エネルギーで、ガスも気の一種です。したがって、おなかが張る、おならが多い、ゲップが多いなどは、気が体のどこかでつかえて、うまく流れていない「気うつ」の典型的な症状と診断されるのです。その時には、気のめぐりをよくすることで、体内のバランスを整えなければいけません。
香りの強い食材は、気のめぐりをよくする効果があるといわれています。しそ、パセリ、コリアンダーなどの香草のほか、ジャスミン、ミントなどハーブのお茶もいいでしょう。
また辛味の食材は体を温め、気の流れを促すものが多いです。例えば、ねぎや唐辛子など。山椒や生姜は、香りと辛味と両方の作用をもつ食材です。これらをこまめにとるようにするといいでしょう。