気温が低くなると、肌の調子も変わってきます。寒さによって、体内の血液のめぐりが悪くなることで、皮膚組織に十分な栄養や酸素が行きわたらず、肌荒れを起こすのが主な原因。ざらざらとした、サメ肌のような症状はその典型です。
このように血液がうっ滞して、体のすみずみまで十分に送られていない状態を、漢方では「お血(おけつ)」といい、冬場によく見られます。また、秋頃は体内の血液が不足して乾燥状態になる「血虚(けっきょ)」も起こりやすく、そのまま冬を迎えると、「血虚」と「お血」がダブルで肌にダメージを与えてしまいます。
つまり冬の肌荒れは、乾燥対策と血行対策を、一緒に行うことがポイントです。
外側からのケアとしては、顔の場合なら、保湿性の高い化粧品を使ったうえで、マッサージを行って、血行をよくするようにします。朝晩の洗顔の際に、両手で顔全体を軽くたたくだけでも効果があります。さらに、その後、蒸しタオルで顔を覆い、肌の血行を促してからスキンケアをすると相乗効果も高まるでしょう。
また、足がうろこ状に乾燥したり、ざらざらと荒れてしまった場合は、入浴後に保湿効果の高いジェルやクリーム、オイルを塗り、マッサージする習慣をつけてみるなど、油分や水分を失ったままの肌を放置しないようにします。
内くるぶしの骨の出っ張りの上端部から、指3本分上にある「三陰交(さんいんこう)」のツボは、血行を促す効果があるので、マッサージの際にでも押してみるといいでしょう。
内側からのケアでは、まずは食生活に気をつけます。
体を温める効果のある食材をとったり、火を通して食べるなど、体内を冷やさない工夫とともに、血液のめぐりをよくする効果のある食材(黒大豆、にら、カカオ、きくらげなど)を選ぶようにします。きくらげのヌルヌル成分は、肌に潤いをもたらす効果もあるといわれています。
そして、生活習慣全般として気をつけるべきことは、体を冷やさないようにすることです。これは肌荒れだけでなく、冷え症(冷え性)対策にもつながります。
例えば、冬は厚いセーターなどを着込みがちですが、脱ぎ着しやすい重ね着の方がむしろおすすめです。汗をかくと、汗と一緒に体の熱が放出され、乾く時に体が冷えてしまいます。そのため汗をかくほど暑くなったら脱ぎ、寒くなったら着ることができるようにしておくとよいのです。
体の中で、温めるとよい場所が3つあります。首まわり、足先、お腹まわりです。とくに首まわりは、皮下脂肪が少ないので、外側から温めると、首の中にある大きな血管から血液へと熱が伝わり、全身に効果が行きわたります。ハイネックやタートルネックのウエア、マフラー、スカーフ、ネックウオーマーなどを上手に使いましょう。