就寝中に突然、ふくらはぎの腓腹筋(ひふくきん)がけいれんを起こして、強く収縮し、激痛に見舞われるのが、典型的なこむら返り(こぶら返り)の症状です。
こむら(腓)とは、ふくらはぎのこと。こうした突然の筋肉収縮は、ふくらはぎに限らず、手足の指、太もも、首、肩などの筋肉にも起こります。またタイミングとしては、就寝中のほか、運動不足の人が十分な準備運動なしで体を動かした時、冷たいプールで泳いだ時などに起こりやすいといわれています。
こむら返りは、筋肉の収縮が正常にできなくなっている状態で、いくつかの原因があります。その中でもとりわけ多いのが、足の冷え。とくに就寝中のこむら返りは、しばしば足の冷えが原因で、腓腹筋の血行が悪くなって起こります。漢方では、血液を意味する血(けつ)の量や質が低下した、「血虚(けっきょ)」の状態で現れる症状と考えます。
こむら返りが起きた時、皮膚が乾燥しているようなら、まさしく血虚の状態であるといえます。秋風が吹いて朝晩がめっきり冷えているにもかかわらず、夏用の薄い布団をかけて寝ている人などは注意しましょう。
もしも布団の中で身動きがとれないほどの激痛に見舞われた場合は、「承筋(しょうきん)」というツボを押すと、急場をしのぐことができます。承筋とは「筋肉を支える部分」という意味で、ふくらはぎの中央部、ひざを軽く曲げた時にふくらはぎの最も太い部分の真ん中あたりにあります。
こむら返りの予防にあたって大事なのは、足の冷えを防ぐことです。就寝前にお風呂や足浴でよく温めます。足の裏やふくらはぎのマッサージ、アキレス腱を伸ばすストレッチも足全体の血行をよくします。ふくらはぎの筋肉が弱い人は、普段から承筋のツボを指圧しておくのも効果的。また、スポーツをする前には、準備運動を忘れずに。
カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムといった、電解質と呼ばれるミネラル分が体内で不足したり、バランスが崩れている時も、こむら返りがよく起こります。例えば、運動や入浴などで一度に多量の汗をかいた人、胎児に栄養をとられてしまう妊娠中の女性などは、ミネラル分が決定的に不足しているので、気をつけなければいけません。
そのような人は、カルシウム、ナトリウムなどが入ったスポーツドリンクでしっかりと水分補給を。日ごろから野菜、果物、海藻類、牛乳、小魚をバランスよく食べて、必要なミネラル分を補給しておくことも有効です。
こむら返りは、糖尿病の初期や肝疾患の患者さんにもよく見られます。慢性的に多発する場合、こうした病気が原因ということもありますので、医師の診察を受けてください。
高血圧症になった場合、治療で最優先されるのは、適切な値まで下げること。漢方薬は西洋医学で使用する医療薬に比べ、確実に血圧を下げる効果は弱いです。その代わり、高血圧症に伴って認められる、頭痛、肩こり、めまいなどの自覚症状を取り除いたり、自律神経のバランスを整えて血圧を高くさせる要因を軽減させ、結果的に血圧を調整することが期待できます。