「お座敷で宴会を終えた後、靴をはこうとしたらきつい」「夕方になるとブーツが足を締めつけるように感じる」、そんな経験がある人は、冬の寒さのために体が冷え、体内の水分代謝が乱れ、むくんでいる可能性が大です。このような状態を、漢方では「水毒(すいどく)」といいます。
冬はトイレに行く回数が比較的多くなるから、むくみとは無縁の季節のように思われるかもしれません。でも冬の間の排尿は、体内で余った水分を、汗として出す代わりに頻繁になるわけですから、それで体内の水分量が十分に減るわけではありません。むしろ汗が出にくいぶん、摂取する水分量によっては、他の季節以上に注意が必要となります。
足のむくみで悩んでいる人は、まず体が冷えているかどうかをチェックします。
もしも尿の色が無色透明に近く、サラサラとしていたり、入浴後に尿が出る場合は、体が冷えている可能性があります。この状態だと、体内の血液や水分のめぐりが悪くなっています。余分な水分は、重力にのっとって体の下部──つまり足のほうにたまり、それがむくみとなってあらわれるのです。
むくみを解消するためには、体を温かく保つことが大切です。重ね着や下着を工夫して血流をよくします。腹巻きをして、胃腸部分を温めるのも効果的です。入浴はシャワーだけですまさず、必ず湯につかって全身を温めてください。
また、汗を出しにくい季節なので、夏場と同じような量の水分をとると、尿だけでは排出が追いつかず、むくみを起こす原因となります。とはいえ、冬は一年の中でもお酒などを飲む機会が多いシーズンです。つきあいなどで飲む量をどうしても減らしにくい、という人は、意識的に汗をかくようにしましょう。入浴やスポーツなどで、できれば毎日汗をかくといいでしょう。
仕事が忙しく、スポーツをする時間が取れない、もしくはスポーツ自体が苦手、汗をかく機会を見つけるのが難しい、という場合は、摂取する水分量を調整する方法を選ぶことをおすすめします。
水毒によるむくみの改善に効果がある冬の食材は、春菊、セロリ、長ねぎといった香りの強い野菜、みかん、ゆずなどの果物が挙げられます。フグ、カニ、ハマグリなどの魚介類も水はけを助ける効果があるといわれています。
通年ある食材では、黒豆、小豆、春雨、昆布、わかめ、海苔などが代表的です。