(「筌」は魚籠(びく)のこと。魚を釣ってしまえば魚籠のことなど忘れがちであることから) 目的を達してのちに、それまでの苦労や手段を忘れることへの自戒をいう。目的なくして手段はなく、手段にだけかかずりあって、本質を見失ってはならないとする教訓。
〔類〕兎(うさぎ)得て蹄(わな)を忘る
〔出〕荘子(そうじ)
〔会〕「なに、別れるって。むかし内職までして家計を支えた奥さんを今になって捨てるというのか。おまえのようなやつを魚を得て筌(せん)を忘るというんだ」「あのう、別れると言いだしたのは女房のほうなんです」