時と場合によっては嘘も許される。元来は、仏が衆生を悟りに導くために説法に用いたのだが、嘘をつく目的が高尚なものでなくてはならないとする限定条件がついている。現代では、物事を円滑に運ぶための便宜的な手段として活用されているようである。
〔類〕嘘つき世渡り上手/嘘も追従も世渡り/嘘をつかねば仏になれぬ
〔対〕嘘つきは泥棒の始まり/嘘を言えば地獄に落ちる/嘘をつくと腹に竹が生える
〔出〕歌舞伎(かぶき)・日月星享和政談(じつげつせいきょうわせいだん)
〔会〕「私のような仕事をしていますと、嘘(うそ)も方便ということがしばしばでしてね。とくに末期の癌(がん)のような場合は。ま、あなたの場合は単なる胃潰瘍(いかいよう)ですから大丈夫でしょう」「せ、先生、驚かさないでください」