(「うだつ」は、梁(はり)の上に立てて棟木(むなき)を支える短い柱をいうところから) 頭を押さえられて立身出世できない、あるいは運が悪くてよい環境に恵まれないことをいう。その語源については二つの説がある。俗に大工の用語に「うだちが上がる」というのがあり、家の棟上(むねあ)げをすることをいうのだが、これにもとづくというのが一説。いま一説は、「卯建」説で、長屋の隣家とを仕切る防火壁を、関西では「卯建」と呼び、この「卯建」を高く上げるのが立身出世を意味しているとする説である。
〔出〕歌舞伎(かぶき)・勧善懲悪孝子誉(かんぜんちょうあくこうしのほまれ)
〔会〕「元気ないじゃない」「うん。彼とのことでね。ちょっとまいってるの」「やめちゃいなさいよ、あんなうだつが上がらない男。男だったら、ほかにいくらでもいるじゃない」