思いもかけぬところに影響が出てくるというたとえ。大風が吹くと砂ぼこりが立ち、その砂で目を傷める人が増え、目の不自由な人は三味線をひくから、三味線に張る猫の皮が不足する。猫が不足すれば鼠(ねずみ)がふえて、あちこちの桶がかじられるから、桶屋が儲かるという勘定である。
〔会〕「父ちゃん、今年は葱(ねぎ)をやめて、大根中心に作っていこうよ」「何言ってるんだ」「来年は隣町で博覧会が開かれる、そうなりゃ客がゴマンと来る、握り飯が売れる、握り飯とくればたくあんさっ」「甘いな。現実は、そう、風が吹けば桶屋が儲(もう)かる式にうまくいくもんじゃないよ」