「旅は憂いもの辛いもの」というように昔の旅は苦労が多かった。そこで、ほんとうに子供に愛情をもち、その子のことを思うならば、甘やかさないで世の中のつらいことや苦しいことを経験させるのがよい、というたとえである。
〔類〕いとしき子には杖(つえ)で教えよ/可愛い子には灸(きゅう)を据え憎い子には砂糖やれ/可愛い子は棒で育てよ/獅子の子落とし
〔出〕洒落本(しゃれぼん)・当世導通記(とうせいどうつうき)
〔会〕「社長、どうして息子さんを北海道支店なんかに配属したんですか」「いや、可愛(かわい)い子には旅をさせよというだろ。将来のために、今のうちにいろいろな経験を積ませておこうと思ってね」