大望を抱く者は目前の苦労や恥は、耐え忍ばねばならぬことをいう。中国の前漢の武将・韓信(かんしん)は、若いころ無頼の男にけんかを売られたが、じっとこらえにこらえて相手の股(また)をくぐり、許しを請うたことがある。後年、漢の高祖を助けて天下統一の大事業を成し遂げたという故事にもとづく句。
〔出〕史記(しき)/浄瑠璃(じょうるり)・鬼鹿毛無佐志鎧(おにかげむさしあぶみ)
〔会〕「先輩、今の力じゃ練習相手が強過ぎます。恥をかくだけです」「おれたちの目標は日本一なんだぞ。今は彼らから学ぶんだ。韓信(かんしん)の股(また)くぐりというだろ、明日のために耐えるんだ」