無用の情けや思いやりをいう。中国の春秋時代、宋(そう)の襄公(じょうこう)が楚(そ)と戦ったとき、息子の目夷(もくい)が先制攻撃を進言したが、その主張をしりぞけ、「君子は敵も同等の力を持つようになってから、対等に戦うものだ」として敵の布陣を待って戦ったところ、楚に敗れて世人の顰蹙(ひんしゅく)を買ったという故事による。
〔出〕十八史略(じゅうはっしりゃく)
〔会〕「番長、いくら強敵だからって、今日、果たし合いするなんてずるいですよ。やつは、熱が38度もあるし、下痢で力が入らないし」「黙れ、そんなの宋襄(そうじょう)の仁(じん)だ」「かっこつけて、ほんとは絶好のチャンスだと思っているんだろう」