事実でないことでも、何回も重ねると、人はそのうそを信じるようになることをいう。孔子の弟子の曾参は孝養を尽くすことで知られた人であるが、一族のある者が人を殺したときに、その母に「曾参が人を殺した」と告げた人があった。母は信じずに機織りを続けていたが、3度まで言われたときに、たまらずに垣を乗り越えて駆けつけたという故事による。
〔類〕市に虎あり/三人市に虎を成す
〔出〕戦国策(せんごくさく)
〔会〕「狼(おおかみ)だ。狼が出たぞ」「おや、またあの少年だ」「しかし、彼も日ごとに芝居が上達しているな。うそだと分かっていても、なんか背筋がぞくっとするよ」「曾参(そうしん)人を殺すってやつだ」