激しく鳴きたてる蝉よりも、声を出さない蛍のほうが、その思いを焦がして光っているというたとえ。表にあらわすものよりも、内に秘めているもののほうが、はるかに心中の思いに痛切なものがあることをいう。
〔出〕浄瑠璃(じょうるり)・御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち)
〔会〕「やっぱり和子にはかなわないわ。私にはあんな電話をしたり、プレゼントをしたりって、積極的なまねできないもの。やっぱり達也さんのことあきらめようかな……」「何言ってるのよ。鳴く蝉(せみ)よりも鳴かぬ蛍が身を焦がすものよ、女って」