人に情けを寄せることは、他人のためだけでなく、巡り巡ってよい報いが、自分に跳ね返ってくることになることをいう。人に尽くすことは、自分のために尽くすことなのである。▽「人に情けをかけるのは、当人のためにならないから、むしろ情けをかけるのは好ましくない」という意味に取る場合があるが、これは誤りである。
〔類〕思えば思わるる
〔出〕謡曲(ようきょく)・葵上(あおいのうえ)
〔会〕「頼む、今月ピンチなんだよ。給料日にはかならず返すからさ」「よし、任せておけ。情けは人の為ならず、ってね。へへ、そのかわり、ちゃんと深い情けを返してくれよ。期待しているからな」