立身出世しても故郷に帰らず、そのままむなしく老いてしまうことの不遇をかこつさまをいう。中国の春秋時代、楚(そ)の武将・項羽(こうう)が秦(しん)を滅ぼしたとき、秦の都の咸陽(かんよう)があった関中を旅するよう勧められたが、項羽はこれを嫌って、どうしても故郷の楚へ帰ろうとして聞かなかった故事による。
〔類〕繍(しゅう)を衣(き)て夜行く
〔対〕故郷に錦を飾る/故郷へ錦を衣て還(かえ)る/錦を衣て昼行く
〔出〕史記(しき)
〔会〕「おれは東京でやっと開いたこの店をもっと大きくするまでは、絶対に故郷には帰らんぞ」「おいおい、その意気込みは買えるけどさ。錦(にしき)を衣(き)て夜行くが如(ごと)しってな、そのままむなしく年老いてしまうことだってあるんだよ」