軒先だけを貸したつもりが、いつの間にか家全体を取られることから、うっかり一部を貸したために、主要なところまで取られてしまうことをいい、貸した恩義を仇(あだ)で返されることにたとえる。
〔類〕貸家栄えて母屋倒れる/鉈(なた)を貸して山を伐(き)られる/軒を貸して母屋を取られる
〔出〕仮名草子(かなぞうし)・為愚痴物語(いぐちものがたり)
〔会〕「おい、なんだよ。よその連中が野球やってるじゃないか。場所を確保しとけっていったろ」「それが、キャッチボールだけっていうから隅のほうを貸してあげたのに、次々と仲間がやって来て……」「庇(ひさし)を貸して母屋(おもや)を取られたってわけだ。よし、おれが文句言ってやる」