貧しい者の心のこもった寄進は、金持ちの虚栄による多量の寄進よりも価値があることをいう。わずかなものでも、真心のこもったもののほうがよいことにたとえる。古代インドで、阿闍世王(あじゃせおう)が釈迦(しゃか)を招いて供養をしたとき、祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)への帰途を王は100の灯明をともして飾った。そのとき一人の貧しい老女が釈迦に献じようと、苦しいなかから都合して一灯をともした。王のともした火は油が切れたりしたが、貧しい老女の火は終夜燃え続けた、という故事による。
〔類〕長者の万灯より貧者の一灯
〔出〕阿闍世王受決経(あじゃせおうじゅけつきょう)
〔会〕「さてと、もう10時だ。今日はお開きにしようか」「先輩、いくらですか」「今日はおごりだ」「それは、ありがとうございます。部長より先輩のおごりがうれしいです。ポケットマネーでしょ」「貧者の一灯ってわけだ」