悪事をしながら、むりにその事実を考えないようにすることをいう。中国の春秋時代、ある農民が大鐘を盗もうとして、その大きさに困り、砕いて持ち去ろうとした。ところが、鐘の音は轟然(ごうぜん)として四方に響き渡り、慌てて男は耳に蓋(ふた)をして、音から逃れようとしたという故事による。
〔類〕耳を掩うて鈴を偸(ぬす)む/耳を塞(ふさ)いで鈴を盗む/目を掩うて雀(すすずめ)を捕う
〔出〕呂氏春秋(りょししゅんじゅう)/淮南子(えなんじ)
〔会〕「首相、今回の収賄事件にほんとうは関与してるんじゃありませんか」「いっさい記憶にございません」「そんな耳を掩(おお)うて鐘を盗むようなことしないで、はっきりと事実を認めたらどうですか」