(「膏」は心臓の下、「肓」は横隔膜の上) 不治の病にかかることをいう。転じて、あることに夢中になって、手のつけようもないことにたとえる。中国の春秋時代、晋(しん)の景公が病気になり、秦(しん)から名医を呼ぶことになった。その日、景公の夢に二人の童子が現れて、「あいつは名医だから、おそらく我らは殺されるに違いない」と一人が言うと、「それなら肓の上、膏の下に隠れよう。あそこなら薬の力も及ばないから」と話すのを聞いた。やがて医師が到着して診察すると、「この病は膏肓に入っているから治療できない」と答えたという故事による。
〔出〕春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)
〔会〕「おまえ、とうとうエジプトに住むんだって」「ああ、ピラミッドのことを考えていると、もう我慢できなくなるんで向こうに住むことにしたんだ」「しかし、病膏肓(やまいこうこう)に入るくらいのピラミッド好きだな」