あるはずのないことが、現実に起こることがあることをいう。転変の激しいこの世の中では、何が起こるか分かったものではない。昔、僧侶(そうりょ)は殺生戒を守るために、鰻のことを「山の芋」と称して焼いて賞味していたことからとする説もある。
〔類〕蕪(かぶら)化して鶉(うずら)となる/腐草化して蛍となる/雀(すずめ)海中に入って蛤となる
〔対〕山の芋鰻とならず
〔出〕塵袋(ちりぶくろ)
〔会〕「ねえ、聞いた。営業の大下君、じつは亡くなったあの俳優の隠し子だったらしいよ」「ええ、ほんとう……。山の芋鰻(うなぎ)になるくらい突拍子もないことがあるもんだな」