三五郎という情夫(いろ)の金の工面のため、浪人薩摩源五兵衛(さつまげんごべえ)にとことん入れあげさせた凄腕の芸者。源五兵衛へのご機嫌取りのため、腕に「五大力(ごだいりき)」の彫物まで仕込んだが、後に「三五大切(さんごたいせつ)」と書き変える。百両を貢いだ後で、利用されたことを知った源五兵衛は怒り心頭(しんとう)に発し、復讐の鬼と化してむごたらしい殺戮(さつりく)を重ねる。無惨に殺された小万の生首の前で食膳につこうとする源五兵衛は、常軌を逸して何とも不気味。『盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』(1825年初演)。