白鵬の横綱昇進で3年ぶりに東西に横綱が並び、大いに盛り上がった大相撲名古屋場所。この名古屋場所がスタートしたのが、半世紀前のこと。蒸し暑い時季ながら、当初は空調設備も十分ではなく、客席に氷柱を立て、時折、酸素ボンベから酸素を噴出させるといった、独特の場所風景だった。
東京の1月場所(初場所)、5月場所(夏場所)、9月場所(秋場所)に、大阪の3月場所(春場所)。これに1957(昭和32)年11月から福岡・11月場所(九州場所)、58年7月から7月場所(名古屋場所)が加わって、現在の15日制・年6場所の形が定まった。従って、現在の力士の公式の稼働日数は90日である。
有名な川柳(せんりゅう)にあるように、江戸時代の力士は「一年を十日で暮らす良い男」。本場所は不定期で、晴天10日間興行1回という年もあったのだろう。本場所のほかは巡業とか、お抱えの大名、ひいきの大旦那の席。大食大酒を「見事じゃ」などと褒められての「ごっつあん」。もちろん「ごちそうさま」の相撲なまりである。
さて、朝青龍以来4年ぶりの昇進で第69代横綱となった白鵬。22歳と2カ月での昇進は、憎たらしいほど強いと言われた北の湖(現・日本相撲協会理事長)の21歳2カ月、「巨人・大鵬・卵焼き」とたたえられて女性と子供に圧倒的な人気を誇った大鵬の21歳3カ月に次ぐ若さである。ちなみにあの貴乃花は22歳と3カ月、朝青龍は22歳4カ月での昇進だった。いずれにしても名前が挙がるのは歴史に残る大横綱ばかり。白鵬も当然、大横綱の道を期待されている。しかし、22歳といえば、世間ではまだ若造。この年で強さだけでなく、品格まで求められるのだから横綱は大変だ。