「立秋」(8月7、8日頃)を過ぎれば、いくら世の中が摂氏35度を超えるヒートアイランド現象の真っ只中であろうとも、暦の上では秋なのである。
立秋を告げるお天気キャスターたちが、その朝、一様に申し訳なさそうに「暦の上では秋なのですが、今日も全国的に猛暑日で、外を歩いているだけでクラクラするような…」と語りかけてくれるのがおかしい。
そういえば、これまで25度以上で「夏日」、30度以上で「真夏日」といっていた天気予報の用語に、35度以上の「猛暑日」が、2007年4月から加わった。気象庁による予報用語の約10年ぶりの改定によるとのこと。これも「地球温暖化」の一つの影響だろうか。なにしろ、今年の東日本など、やっと梅雨が明けたかと思うとすぐ「立秋」で、しかもそれから「真夏日」が続くのだから、わけがわからない。
その立秋だが、これは立春、夏至、秋分などと同じ二十四節気(にじゅうしせっき)の重要ポイントの一つ。確かに、暦の上ではこの日からは秋である。したがって猛暑でも何でも「季節の言葉」としては「残る暑さ」となる。秋になっているのに、なお残る暑さ、つまり、「残暑」である。そのほか、歳時記の季語では「秋暑」「秋暑し」などという。
季節の挨拶状としては、立秋を過ぎると当然のことながら「暑中見舞い」から「残暑見舞い」に変わる。お中元の礼状を出すタイミングをはずしたときなど、この「残暑見舞い」にお礼の言葉を書き添えるというのもいいアイデアだと思う。
そして、立秋からおよそ15日後、次の二十四節気である「処暑」となる。8月の23日頃。この頃になると暑気も止息(しそく)し、涼しさが感じられるようになる、という意である。季語で言えば「新涼」の候なのだが、最近は猛烈な残暑が9月まで続くことが多くなった。やはり地球が、どこかおかしいのかもしれない。