日本の夏といえば、花火! 古い俳句の歳時記では、花火は8月の季語になっている。もちろん、花火がこの暑い時季の印象を代表するようになったのは、江戸時代以降のこと。例の「玉屋ーっ!」「鍵屋ーっ!」が腕を競った隅田川の花火は、その花火文化の代表例。どーんと上がる威勢の良さ、ぱっと咲いて消える潔さが江戸っ子の気風に合ったのだろう。
花火周辺の季語として、揚花火(あげはなび)、仕掛花火、昼花火、遠花火(とおはなび)、煙火(はなび)、花火舟、花火番付、手花火などがある。
「両国の花火見て居る上野哉(かな) 正岡子規」
季語だけでなく、実際に8月は全国で花火大会が数多く開かれる月でもある。日本三大花火大会のうち、新潟県長岡市の「長岡まつり大花火大会」が毎年8月2、3日、秋田県大曲(大仙市)の「全国花火競技大会」が8月第4土曜日、2007年は25日の開催である。三大花火大会のもう一つ、茨城県土浦市の「土浦全国花火競技大会」は10月第1土曜日、10月6日。
長岡の花火は、江戸期の牧野藩時代からの伝統があり、正三尺玉の大花火が有名。目玉の花火が信濃川畔に上がるとき、上越新幹線も見物サービスのため一時停車したことがあるとか。
ちなみに、新潟にはこの長岡まつりを含む「越後の三大花火大会」といわれる花火があり、毎年9月の9~10日に行われる片貝まつり(新潟県小千谷市)の奉納花火では、なんと正四尺玉などという超巨大花火も打ち上げられる。
三大つながりでいえば「東京三大花火」も、7月28日(7月最終土曜日)の「隅田川花火大会」の後、8月は11日に「東京湾大華火祭」、16日には大都会の真ん中で一万発の花火とライブを楽しもうという「神宮外苑花火大会」が行われる。
そして「花火大会の月、8月」を締めくくる大トリが大曲の「全国花火競技大会」。この大会、日本一、いや世界一の花火イベントともいわれるが、百聞は一見にしかず。日本煙火協会後援だけに、秋田美人のふるさと雄物川畔で、全国から集まった花火師が、腕と意地をかけて夜空の華を競いあう。