まず、台風の定義。熱帯で発生した低気圧が次第に発達していく。そして、南シナ海を含む東経180度以西の北太平洋海域で、最大風速が17m/s(風力8)以上になった熱帯低気圧。これが台風である。そして、さらに発達しながら海上を進み、フィリピン、中国大陸、日本列島などを襲う。
熱帯低気圧は、それが発生した地域によって名称が変わる。太平洋地域では台風(タイフーン)と呼ばれ、メキシコ湾地域ではハリケーン、インド洋地域ではサイクロンとなる。
日本に接近する台風は年平均11個というデータがある。これを月ごとに見れば、発生数と日本上陸数は8月が一番多いそうだ。ただし、甚大な被害をもたらす大型のものは9月に多く襲来しているという。
当用漢字では台風だが、元来は「颱風」。中国では古くから猛烈な風雨を颱風としているが、この颱風と英語の「タイフーン(typhoon)」はアラビア語を語源としているとのこと。日本では古来、激しい風雨は「野分(のわき、のわけ)」と呼ばれてきた。これが「颱風」となったのは明治後期からで、この表記で「たいふう」と呼ぶようになった。
台風の大きさ(大型〈大きい〉、超大型〈非常に大きい〉)は風速15m/sの強風域の半径で分け、その強さ(強い、非常に強い、猛烈な)の表現は最大風速で分類する。ただ、台風の不気味さが伝わるのは、その気圧。気象情報を聞くたびに気圧が下がっていると、どんどん発達しているのだな、という思いが募り不安感がふくらむ。気圧の単位については、ある年代以上の人にとってはミリバール(mb)が懐かしいが、1992年12月から国際的にヘクトパスカル(hPa)とすることになった。「パスカルの原理」で知られるフランスの天才学者にちなむ呼称である。