いわば1年の中の季節の巡りの「一里塚」である二十四節気。その中でも、四季の巡りにかかわる大きな目印である日が、立春、立夏、立秋、そして立冬である。
お分かりのように、すべて季節を表す語の前に「立」がついている。これを「四立」という。「立」は、もちろんこの場合、新しい季節がやってきたという意味だが、もっと根源的には、立つ=物事がはっきり姿を現す、物事があらわになる、何かが生じる、起こるという意味を持っている。さらに、腹が立つ、気が立つ、のように、立つ=激しくなる、といったニュアンスも含んでいる。
そういえば、晩秋、立冬前後の手紙の挨拶用語には、行く秋を惜しむとともに、冬が近くなることをいうフレーズが多い。
たとえば前者は「秋も深まり」「秋寒が身にしむ頃」などであり、後者には「向寒のみぎり」「朝夕寒冷を覚える季節」などがある。そして立冬を過ぎた後は、次第に「寒気日増しにはげしく」とか「木枯らし寒き今日この頃」などが使われるようになる。
俳句の季語では、この時期のものとして立冬そのものはもちろん、初冬(はつふゆ)、冬浅し、冬めく、などがよく使われる。また、立冬の日に限れば、その日の朝を指す「今朝の冬」という季語もある。あるいは歳時記の「人事」の項では、冬構(がまえ)、北窓塞(ふさ)ぐ、風除(よ)け、大根引き、植物系では帰り花、忘れ咲(ざき)、落葉、紅葉散る、などが好まれる。
立冬は、新暦で11月7日頃。この日から立春の前日までが暦の上で冬になる。温暖化のこのごろではあるが、この時期、確かに、太陽の光が弱くなったな、朝夕冷え込むようになったな、と実感するようになる。実感するとは、はっきりと感じるということ、つまり「立つ」日なのである。