冬至(とうじ)は二十四節気の一つで、現在の陽暦では12月の22日ごろに当たる。この日、北半球では、正午のタイミングで南に位置する太陽の高さが、1年の中で一番低くなる。つまり、昼間がもっとも短く、夜がもっとも長い日ということになる。
この日のことを「一陽来復」ともいう。この日を境に日ごとに太陽の位置が高くなり、昼が長くなるからである。西洋では、この日を「太陽の誕生する日」と考える地域も多い。
日本では、古くからの風習として、この日に「ゆず湯」に入り、「冬至かぼちゃ」を食べる。
まず、ゆず湯のこと。これは、入浴して体を治すことである「湯治」と「冬至」をかけた語呂合わせから。しかし、実際、ゆずをカットして晒(さら)しの袋に入れ、湯に浮かべると、体が温まって風邪予防に効果がある。美肌効果もある。芳香はアロマテラピーである。という具合で、これは単なる語呂合わせではない。ただ、さらなる語呂合わせとしては、ゆずは「融通」にも通じ、年末のお金のやりくりを願うということもある。語呂合わせ、恐るべし、か。
次に、冬至かぼちゃ。かぼちゃ(関西では南瓜〔なんきん〕ともいう)は16世紀中ごろにポルトガル船が日本にもたらした野菜。ポルトガル船はかぼちゃをどこから持ってきたかというと、その名のとおり「カンボジア」から。そうして江戸時代には広く普及したが、冬の野菜が少ない当時では、貴重な栄養源。実際、かぼちゃには体内でビタミンAに変わるカロチンが豊富で、ビタミンAは動脈硬化対策に効果ありといわれている。風邪や中気の予防に「冬至にかぼちゃを」の風習も、実は生活の知恵なのだ。
ほかにも、冬至に「ん」のつくものを食べると金運、幸運がつくという言い伝えがある。冬至は1年の二十四節気の最後だから、「いろは」の最後の「ん」のつくものを、というわけだ。つまり、なんきん、にんじん、きんかん、うどんなど。まるでまじないだが、実はこれもまた、冬場の栄養補給を考えろ、体を温めよ、という生活の知恵だったのだろう。