現在の初詣(もうで)は、基本的には正月三カ日のうちに神社や寺院に参拝し、その年の平穏、家内安全や縁談などの成就を神仏に願うもの。ただ、1月中に参拝すれば初詣の願いとなるとか、複数の神社や寺院に願ってもかまわない、いやそのほうがご利益が増えるという向きもある。また、最近は教会で祈るのも初詣というようで、いかにも宗教的寛容度の幅が広い日本らしい話である。
しかし、本来の初詣(初参りとも)は、その家の長が産土(うぶすな)の神、その土地の守り神、つまり氏神様の社に、大みそかの夜から元旦にかけてこもる「年籠り(としごもり)」のことをいった。そして、この習慣が除夜詣と元日詣となり、元日詣が初詣のもととなった。
このように、もともと初詣は地元の氏神様に詣でるものであったのだが、明治以降は有名な神社や寺院をはじめ、自分の好きなところに参詣すればよいことになっていった。
全国的に見て、初詣の参拝者数は、明治神宮(東京都渋谷区)、成田山新勝寺(千葉県成田市)、川崎大師(神奈川県川崎市)が近年不動のベストスリー。その数、例年300万人前後。各社寺ともに、除夜の鐘が鳴り終わるのを待ちかねたかのような人出となる。以下、伏見稲荷大社(京都市)、熱田神宮(名古屋市)、住吉大社(大阪市)と各地のナンバーワンが続き、毎年、各神社とも200万人を超える初詣参拝者でにぎわう。
「拝殿の闇おごそかや初詣」 上野青逸
大混雑の中では難しいかもしれないが、神社ならば鳥居の前で一礼、境内では手水(ちょうず)を使ってほしい。そして、お賽銭(さいせん)を入れたあと、鈴を鳴らしてから、二礼二拍手一礼の基本作法は守って拝礼してほしい。
前年にいただいた破魔矢(はまや)やお守りなどは、この初詣の折に納めて焼いてもらうようにすればよい。